本日の学びは【自惚れるな】
2021年11月16日
20.11.4
その他 
流通のルールを理解していない場合、もう売り出す前から負けが確定したのも同然です。
売れる売れない以前に無理な状態になってしまいます。
物事には順番とルールがあり、これを間違えると大変なことになってしまいますよね?
恋人と先に約束していたのに、友人を優先させるようでは恋人との関係を壊れさせることになりかねません。これと一緒なのです。
現在はこのご時世もあり“EC”は売れるという情報がまことしやかに流れ、最初にECから販売して売れたら量販店にということをおっしゃる話をよく耳にしますが、この順番はすでに負けが確定しているパターンです。
「新しい事業としてこの商品を売り出したいので、プロモーションの協力お願いします!予算は●●万円用意しているのでこの中でなんとか!」
僭越ながら、いくつかのヒット商品誕生に携わらせていただいた経験から、こうした依頼を受けることも珍しくありません。
予算をたくさん用意したとしても、EC→一般流通という順番は仕組み上、ほぼ必ず99%以上失敗します。
では、一般流通のルールから説明しなぜEC→一般流通という順番が失敗するのかを解説いたします。
まずはなぜEC→一般流通で失敗するのかということを理解していただくため、一般的な流通ルールを説明します。
戦略は大きく分けると2つあります。上記の通り“一般流通“と“EC販売“の2つです。
一般流通とは、ロフトやハンズ、ドンキホーテや電気屋さんなどのいわゆる量販店で販売されることを指す場合が多いです。
その中でも商社を介す問屋流通、直接ルートを作る直流通のまた2つに大きく分かれます。
(表現方法は様々ですが、今は分かりやすくこの表現で行います)
利益分配のイメージでは・・・
メーカーから商社で4掛前後、商社から量販店に6掛前後での卸が問屋流通。
直接だとメーカーから量販店に5掛前後が多いでしょう。
(これは美容雑貨の例なので、ジャンルによって掛け率は異なります)
このようにメーカー側の立ち位置で見ると直接流通の方が高い利率なので「うちは●●の▲▲店に直接卸してます」と自慢げに語られるメーカーさんもいます。
語弊のないように改めて言いますが、この直流通が決して悪いわけではありません。
それで伸びている会社もありますので。
ただしルールを知っていれば・・・の話で。
店頭販売においては実は「棚落ちさせてはいけない」という暗黙の第一関門が発生します。棚落ちとは、売れないと判断された商品が店頭に置かれなくなることを意味する、まさにその名の通りの現象を指します。
棚落ち情報は複数店舗に共有されることがあり“売れない商品“というレッテルを貼られて、以降の流通が非常に厳しくなることが一般的です。
一方で商社流通は棚落ちを防ぐために協力してくれます。
ラウンドと呼ばれる店舗巡りでは棚落ちが予想されると「何か施策を行った方がいい」と助言をくれたり、在庫が切れそうな際に補充の手伝いをしてくれたりします。
他にもそれぞれの商社が量販店に売り場を持っているケースもあり、商社判断で良い位置に陳列されることもあります。
このように利益率こそ減りますが、商社を利用するメリットは多いことに間違いありません。
でも・・・商社流通にもデメリットは多くあります。
1つは取引までの壁です。
同ジャンルの商品は全てライバルであり、店頭に並べるよりも競争率は高くなることも珍しくありません。掛け率を交渉したり、販促物を商社用に準備したり、そこにはまさに商取引という現場が待っています。
もう1つは独占契約です。
ここはメーカーの判断にもなりますが、売れる商品は独占契約(エクスクルーシブ)を求められる可能性が高くなります。
独占契約は在庫管理が楽になるなどメリットも多くありますが、判断を間違えると販路を大きく失う可能性もゼロではありません。
成功例としては、ECはA社、Z量販店はB社と販路毎に独占契約を分散させる方法が一般的でしょう。
海外も同じで中国ならC社、アメリカならD社という感じで、国や地域毎に分けるケースが多くなっています。これは知識として抑えていただきたいポイントです。
ここまで一般流通のルールを解説してきました。
やっとです、やっと、なぜ、EC→一般流通がNGなのかをお話しできます。
「このようなルールをわかっている上でも、EC販売後に流通を行うことは無理なのか?」と思われるかもしれませんが・・・無理です。
「でも、両方の展開を行なっている会社もあるじゃないか!」と思っている方もいるでしょうから、この辺りで結論から先に言っておきましょう。
勝ちパターンに置き換えるには順番が逆なんです。
まずは流通を目指し、売れたからECでも売るというのが勝ちパターン。
その理由を説明しましょう。
量販店のバイヤーが最も嫌うことは“値崩れ“です。
メーカーの許可なく定価より安い金額で売られることを意味し、値崩れを起こした瞬間流通が止まると思っていただいても大袈裟ではありません。
値崩れは90%以上の確率でWEBから起きます。
例えばamazonプライムの配送料無料さえも、定価に含まれているので値崩れと変わりありません。
要するに店頭で売れなくなる理由を最初に潰すことが量販店が最も重要視しているのです。
本当に悪いやつがいるもので、ECでも流通というものが存在します。
売れなくなった商品を勝手に一担当者がamazonで3割引で販売しているということも珍しくありません。
・・・聞き逃さないでくださいね?珍しくないんです!
これは商社も同じで、値崩れが始まった商品を売る会社は皆無と思っていただいて構いません。
実は売ることよりも大事な値崩れ防止。ここを知っているか否かだけで将来的な展開は大きく変わります。
単品定期通販は初っ端から定価割れしているので、流通に乗らないわけです。
「あの商品売れているのになんで店頭にないんだろ?」の答えはこんな極めてシンプルな感じなのです。
最初に販売戦略は決めておきましょう。
このように流通に関する基礎的なお話をしてきましたが、一般流通にこだわる必要もありません。
ただ流通を目指すならルールは頭に入れておくと、少なくとも損はないでしょう。
ECのみで販売するのも問題ありません。
ただ、ECよりも一般流通の方が中長期での売り上げは正直見込めます。
(爆発力はECの方が当然ありますが)
今回の話と主旨が異なるので細かくは触れませんが、ECのみでの販売戦略になるとまた原価計算が大きく異なります。特に単品定期通販では、原価率は10%以下は当たり前になっており、広告計算がきちんとできなければ大きな赤字になってしまいます。
特に最近では、消費者センターへの苦情も多いことから、カスタマーセンターの準備は必須と思います。
しつこいようですが、物販の場合は最初の段階での販売戦略が本当に重要です。
マーケティングサイクルもPDCAではなく、PCDAの方が近いような感じもするレベルです。
とは言いながら、これらは全て一般的なルールに基づいた話。
これを踏まえた上で奇襲を仕掛けるのもまた戦略だったりしますので、何かの参考程度に考えていただければ、気ままに書いただけの記事に息が吹き込まれる感じで少し嬉しかったりします!
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