【編集者の頭の中第13回】ガリガリくんナポリタン味、激辛ペヤング…大手食品メーカーが絶対美味しくなさそうな商品を出す理由

コンビニに売られているカップ焼きそばやアイスクリームは新商品が投入されている一方で、「定番商品」が棚の多くを占めています。

 

この定番商品、最大の特徴はずっと味が変わらないことです。

 

むろん、実際はそんなことはなく、消費者には公に伝えずこっそり味を改良しているのですが「味を変えていない」と思わせることで「定番」を維持してきています。

 

こうした定番商品を持っている食品、飲料メーカーはそれだけ企業として安定しているため、株価が安定して伸び続けていることでも有名です。

 

たとえば、米国株の中で安定的に株価が上昇し続けていることで知られている企業がザ コカ・コーラ・カンパニー(以下、コカ・コーラ社)です。

 

なぜコカ・コーラ社はこれだけ安定的な収益を維持しているのでしょうか。

 

それは、今から10年前、いや20年前を想像すればわかります。

 

現在この空間に存在しているものの中で、2000年当時存在しなかったものは少なくありません。

 

たとえばスマホ。

 

また、パソコンも持ち運べるほど軽いものはそう多くありませんでした。

 

つまり、こうしたガジェット類はたった10年ほどでまったく使われなくなったり、イノベーティブな商品の登場によって、世界の風景を大きく変容させる可能性すら持っています。

 

しかし。

 

商談の際に使われるパソコンに変化はあれど、商談の際に出されるお茶に変化は起きたでしょうか。

 

ペットボトルや缶のお茶は20年前もパッケージデザインが変わった以外は大きく変化していません。

 

当然、これらを作っている工場も移転しておらず、雇用にも変化はありません。

 

つまり、飲み物や食べ物はIT業界と真逆で、簡単にイノベーションが起きない業界なのです。

 

となると、10年前も10年後も安定的にキャッシュが入ってくる業界が飲料食品業界と言えます。

 

人間には必ず空腹が訪れ、さらに喉は乾く。

 

だからこそ飲料・食品業界は安定的にお金を稼ぐことができます。それが投資対象としての人気を下支えしているのです。

 

しかし、ここで問題が1つあります。

 

それゆえに、飲料食品業界はメーカー同士の寡占状態となっており、競争が激化しているのです。

 

いま、ネット広告代理店の名前を挙げてみようと思えば簡単に10社程度が浮かぶと思いますが、飲料メーカーはそう多く上げられないのではないでしょうか。

 

コカ・コーラ社やサントリー、KIRIN、大塚製薬、あとは…と日本を代表する数社しか挙げられないはずです。

 

つまり、新たなプレイヤーが出てこず、市場が成熟しているのです。

 

こうした業界でもっとも必要なことはなんでしょうか。

 

それは「自社の商品を定期的に思い出してもらうこと」です。

 

結局、ライバルよりも自社の商品を選んでくれればよいので定期的に目立てばよいのです。

 

もうおわかりでしょう。

 

その手段が「絶対美味しくなさそうな限定商品」なのです。

 

限定商品はその奇抜さゆえにニュースが取り上げられる可能性が極めて高いです。

 

たとえば、ペヤングソース焼きそばはすごく大きいサイズのものを出したり、誰が食べられるのかわからないほどの辛い商品を出しています。

 

こうした施策は必ずニュースになったりSNSで話題になるため、消費者に対してペヤングのことを思い出してもらうきっかけとなるのです。

 

いわば、「絶対美味しくなさそうな限定商品」はメーカーにとって広告宣伝費なのです。

 

中途半端に美味しそうな新商品を出すより、ロットを少なめにして奇抜な味の商品を出した方が話題になる。

 

これは寡占市場を生き抜くための特殊なPR戦略と理解するのが正しいでしょう。