【編集者の頭の中第11回】企業が作る「〇〇の日」、なかなか定着しない理由

数年前から、企業が独自に「〇〇の日」を制定するケースが目立っています。

 

例えば、毎年9月23日は不動産屋の日だそうです。
https://zentaku.estate-day.com/

 

(以下、引用)
9月23日は「不動産の日」。秋は不動産取引が多くなることと、「2(ふ)10(どう)3(さん)」の語呂合わせから、昭和59年(1984年)に全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)が定めました。

 

ハトマークグループでは、不動産の日にちなみ、消費者の居住に関するニーズと現状の把握を目的に、毎年アンケート調査を実施しています。
(引用終わり)

 

しかし、この「不動産の日」、初めて耳にしたという人も少なくないのではないでしょうか。

 

逆に「いい夫婦の日」というのは知っている方も多いはず。

 

1122(いいふうふ)で、11月22日ですよね。

 

この日に婚姻届を出したり、夫婦でディナーに出かける夫婦は多いのではないでしょうか。

 

さて、両者はなぜこうも知名度に差がついているのでしょうか。そこにPR施策のポイントが隠れています。

 

まず、「いい夫婦の日」について。

 

この日は、前述したように「だからせっかくだから夫婦でディナーしよう」とか、「妻にプレゼントしよう」といったように、一般の人つまり消費者が能動的に何かアクションする日ですよね。

 

しかし、「賃貸物件の日」については、その日を迎えたとして、具体的に何か消費者が能動的にアクションすることが思い浮かばないのではないでしょうか。或いはメリットもない。

 

となると、「不動産の日」が一般的に普及することは難しく、これを企業がプロモーションとして仕掛けても概ね大失敗に終わる可能性が高くなります。

 

結局、企業や特定の業界が「○○の日」を制定してPRに取り組む上で重要なのは、「その日に誰かがアクションする内容が思い浮かんでいること」「誰かにメリットをもたらす設計であること」なのです。

 

例えば「バレンタインデー」は「○○の日」に近いものがありますが、消費者に能動的に行動させる動機をうまく設計することに成功しています。

 

「バレンタインデーはチョコをあげるもの」という”行動を促す”キャンペーンを打ったことで、実際チョコレートを買わせることに成功しているのです。

 

もし、そういった動機付けの設計が難しいならば、企業として多少のコストを背負っていなければなりません。

 

例えば天下一品の場合、年に一回、「天下一品の日」を10月1日に設けています。

 

この「天一の日」は、次回ラーメン無料券を配る日として知られており、消費者にとって明らかに得があります。

 

そして、この日は自然と並んだ人が「無料券をもらった」とツイートするのです。

 

結果的に、これがSNSでのプロモーションにつながるわけです。

 

これは単純に広告を出すよりも安いコスト(一人当たりラーメン一杯分のコスト)で一般の人たちのツイートによって拡散させることに成功している例と言えるでしょう。

 

つまり、安易な「○○な日」を定める前に、導線設計まで慎重に準備する必要があるというお話でした。