【編集者の頭の中第6回】警察にプラスなイメージがなくても、警察ドラマが放送され続ける理由

かつてに比べ、テレビドラマはその地位を失いつつあります。

 

「半沢直樹」や「逃げるは恥だが役に立つ」など、TBSのドラマに注目が集まる機会がありますが、それは普段ドラマに注目が集まっていない証拠とも言えます。

 

なぜ今、ドラマがウケないのでしょうか?

 

ここからメディアの関心領域を探っていきましょう。

 

この「ドラマ不況」とも言えるトピックについては、BSフジの亀山社長が2月22日配信のwithnewsのインタビュー記事で答えた内容が参考になります。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/602ce3f5ced9d60967c1e97767a670db4da5b0d9

 

亀山氏によると、かつて連ドラの王道と言われた恋愛ドラマが特にウケなくなっており、今は医師や警察をテーマにした職業系のドラマが定番となっているそうです。

 

視聴者が恋愛ドラマへの共感ができなくなり、ドラマ作品も一通り恋愛の形をやりつくしたというのです。

 

また、東日本大震災以降、命を意識する作品にシフトしていったことも、ベタな恋愛ドラマを描けなくなった遠因となっているそうです。

 

そもそも、2020年代に入り、恋愛ドラマがかつて描いていたストーリーは全員が体験するものではなく、恋愛の形態が様々になりすぎてしまったというのもあります。

 

現在、20代で恋愛して30代で結婚出産…というライフコースをたどっているのはごく一部でしょう。

 

さらに、ドラマを視聴する人たちが「年をとった」というのも大きな理由です。

 

かつて90年代に恋愛ドラマを見ていた若者は、今や40〜50代。

 

彼らは恋愛の当事者ではなくなっているのです。

 

そんな現在、ドラマでヒットする作品は概ね警察ドラマか医療ドラマとなっています。

 

その理由のひとつは、40〜50代の視聴者でも違和感なく見れるのが「古い業界」である警察、医療業界だからです。

 

古いというのは「変わらない」ということです。

 

20年前の医療ドラマを見ても、いまの医療ドラマを見ても病院の構造やスタッフの服装に大きな変化はありません。

 

それに対し、サラリーマンドラマはサラリーマンの形が多様化しすぎてそれを描くのが困難になっています。

 

主人公がリモートワークをするドラマを今後は描かなくてはならなくなるのはそのわかりやすい例でしょう。

 

つまり、国民に提供する「共通言語」が減っていった結果、変化の少ない医療モノや警察モノが残っているという状況なのです。

 

そもそも連続ドラマはなぜできたのでしょうか。

 

すべてのマスメディアは広告収益を得るために存在しています。

 

その点で連続ドラマは広告商品を作るうえでとても秀逸な形態でした。

 

例えば、概ね連続ドラマは全12〜13回放送されますが、これは1クール(3ヵ月)の期間放送されることを意味します。

 

つまり、ドラマを放送することで3ヵ月間、一定の年代・性別の視聴者を同じ時間に集めることができます。

 

結果、3ヵ月間そのドラマを見る視聴者向けの広告をテレビ局は売ることができます。

 

そのため、ドラマが人気だとテレビ局は中長期的に安定的な広告収入を得ることができるのです。

 

しかし、時代は変わりました。

 

60分も人は同じ動画を見れなくなったのです。

 

現在Tiktok、Youtubeに代表される動画プラットフォームの場合、動画の再生時間は30秒~10分ほどです。

 

相対的に60分間ドラマを見ることがきつくなっているのです。

 

テレビの前で一話分のドラマを60分間見るということは、早送りもできず、CMも飛ばせず、スマホで見る動画より圧倒的に不自由に感じてしまうのです。

 

よって、今はSNSで実況をしながら見ることができるドラマでなければ(特に若者は)ドラマを楽しむことは難しいと言えるでしょう。

 

前述した「逃げ恥」はツイッターで実況しながら見るドラマとしてヒットしました。

 

つまり、サッカーのワールドカップやオリンピックの試合のように、お祭りのように消費できなければ連続ドラマを楽しむことは難しくなっているのです。

 

先日、米国のマスターズで松山英樹プロが日本人として初優勝しました。

 

ツイッターでこのニュースがトレンド入りした理由は、早朝にテレビでリアルタイムで見ていた視聴者がツイッターで彼の優勝について言及していたためです。

 

今、スポーツの大会とドラマの消費のされ方は一緒になっているのです。

 

リアルタイムで楽しめるコンテンツ設計、あるいは「昔から変わらないもの」をドラマのテーマにしなければウケない理由がおわかりいただけたでしょうか。

 

「今の時代、恋愛ドラマは難しい」BSフジ亀山社長が語る視聴者の変化 「恋愛が、あまりに他人事に」(withnews) – Yahoo!ニュース

news.yahoo.co.jp