【編集者の頭の中第2回】私たちの生活に馴染んだ“UX”が、意外なところまで浸透している事実を、霜降り明星と「有吉の壁」から学ぶ(前編)

今日は少し専門的な話をします。

 

今流行っているテレビ番組や動画、楽曲、さらにはタレントまで、トレンドには必ず時代の“気分”が反映されています。

たとえば、WEBメディア。

堀江貴文さんやキングコング西野亮廣さんへのインタビュー記事がそろっていることで知られる新R25というメディアがあります。

これは、都心に住む20代前半の若者をターゲットにしたWEBメディアで、新R25の記事ページは、取材対象者とインタビューアーが吹き出しの会話調になっています。

 

(例)
「ジャガーを買ったらお金の価値がわからなくなった」“月収600倍以上”を経験したヒロシが語るお金論(新R25)
https://r25.jp/article/850630523689718308

 

しかし、10年ほど前までは、WEBメディアのデザインに新R25のようなものはほとんどありませんでした。

当時は、ほとんどが吹き出し調のものはなく、テキストが横書きで書かれている下記の東洋経済オンラインのようなデザインが主流でした。

 

(例)
バレーボール大山加奈が苦しむ”後遺症”の過酷(東洋経済オンライン)

https://toyokeizai.net/articles/-/371832

 

東洋経済オンラインがこのようなデザインになっている理由は、スマホが普及する前からこのサイトが存在していたからです。PCの画面で見た時に見やすいデザインになっており、そのデザインが現在に至るまで続いているんですね。
一方、新R25のページデザインはこれとはまったく違うものです。

 

さて、先ほどのヒロシさんの新R25のページですが、あるものに似ているのに気づきましたか?

ヒントは、あなたにとってとても身近なものです。

答えは、LINEの会話画面です。

LINEの画面は、両者に話し手のアイコン写真があり、吹き出しでぽんぽんと会話が進んでいくものになっています。

 

考えてみてください。

普段私たちがスマホでもっとも触れ合っているデザインはこのLINEの画面ではないでしょうか?

つまり、私たちはこのLINEの会話調のデザインに慣れており、心地よく感じているのです。

言い換えれば、このデザインという“体験”を毎日享受している。

こうしたサービスとユーザーの体験を「UX=User Experience」といいます。

このUXは、時代によってその“正解”が変化していきます。

 

かつて、ガラケーでキャリアメールを使っていたときは「受信トレイ」と「送信トレイ」に分かれていましたよね?

しかし、いまは受信と送信はフォルダが分かれていません。

結果として、短文でポンポンと大量のメッセージをやりとりする“体験”が生み出されました。

“既読”という概念の登場によって、メールが届いた時に、「既読にして返信する」「既読にして返信しない」「未読にしたままでこっそりメッセージは読んで返信しない」「未読でメッセージも読んでいないので返信もしない」という4つのアクションが発明されました。

この例だけでも、メディアの変化に伴って、私たちの体験が変化したことを理解できると思います。

 

さて、ここからが本題です。

このようなUXの変化は、WEBサービスやアプリケーションだけに訪れるものではないのです。

時代に支持されるヒットコンテンツやお笑い芸人でさえ、このUXと無縁ではないのです。

その意味で、今のトレンドを抑えたUXを知るヒントとして、2018年M1グランプリ王者である霜降り明星と日本テレビ系列「有吉の壁」の2つはとても重要なものです。

この2つを見れば、今、日本人がメディアをどのように受容しているのか、あるいはどのように受容したいのかが見えてきます。

 

前置きが長くなりましたが、それでは、その詳細を説明します。

…と言いたいところですが、少し長くなったので今日はここまで。

 

続きは後編にてお話します。

 

 

 

鈴木俊之(編集者/メディアコンサルタント)

 

◆Profile
1985年福島県生まれ。学生時代よりライター活動を開始。大学卒業後、出版社にて裏社会、犯罪、事件誌の編集記者を経て2015年よりフリーランスとなる。「週刊SPA!」(扶桑社)、「PRESIDENTオンライン」(プレジデント社)など大手出版社で編集者として活躍。現在は主に総合週刊誌、ビジネス誌のほか、ネットニュースの編集、オウンドメディア運営にも携わる。専門分野は、ベンチャー、金融、不動産、人材、美容、婚活など。